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子が親の賃貸建物を買うと…使用貸借で贈与税なし・家賃収入は子へ移転!
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古くても立地が良ければ
築30年を超えた、賃貸マンションがあります。管理や修繕には苦労しますが、立地が良いため、多額の収益をもたらします。家賃収入は、年間で2,000万円。諸経費を差し引いて、年千数百万円の手取りです。
この建物は、減価償却後の帳簿価格(簿価)が3,000万円です。そして、土地の所有者も建物の所有者も、親になっています。
親子間の建物売買
さて…土地はそのまま建物だけを、親から子へ売却すると、価格は幾らになるのでしょうか。
親子間の売買は、「時価(通常の取引価額に相当する金額)」で行われます。固定資産税評価額や相続税評価額ではなく、「時価」が基準なのです。「時価」より安い価格であれば、差額に対して「贈与税」の課税になります。
では、「時価」は、幾らでしょうか。税務署は、通常の場合、〈時価は償却後建物簿価で可〉‥としてくれます。鑑定評価等をしてもいいのですが。
時価は簿価でOK
建物の「時価」は、「簿価」と同様、3,000万円です。親が子に建物を売却しても、子に贈与税はかかりません。
建物を売却したので、親には「譲渡税」が課されます。…が、簿価3,000万円のモノを時価3,000万円で売却したのです。したがって、親に利益は無く、課税ナシです。
ただし…登録免許税や不動産取得税が、100万円くらいになるでしょう。また、消費税が課税されるケースもあります。そして、売買とは別に、《預かり敷金の精算》も必要です。
贈与税ナシの家賃収入
親の土地の上にある建物の所有者が、親から子に移った場合…以前は、借地権贈与があったとして、「贈与税」が課税されたケースもありました。現在では、子が固定資産税等の実費を負担する「使用貸借」にすれば、「贈与税」の心配は不要になるのです。
さて、年間2,000万円の家賃収入は…当然、建物の所有者になった子が受取ります。3,000万円で買った建物から生じる、毎年2,000万円の家賃収入は、すべてが子のモノになるのです。
建物のみがポイント
子が家賃の積み立てをすると、来たる相続に備えた、「相続税」の納税資金になります。親が高所得で所得税負担が多い場合…家賃収入を子に移すことで《所得分散》となり、一家全体での、税負担が軽くなるでしょう。
家賃は、その建物の立地条件によって変わります。この賃貸マンションの場合は好立地で、「時価」2〜3億円はするでしょう。
家賃収入が目的の場合、第三者であれば、建物と土地の両方を買わなければなりません。しかし、親子間ならばこそ、建物だけを買うことができるのです。そして、家賃収入は《総取り》です。
売買ではなく贈与も可能
親子間の建物移動を、売買ではなく贈与により行うことも有益です。「贈与税」には『相続時精算課税制度』があり、2,500万円まで非課税になります。
建物の固定資産税評価額が3,000万円である場合…《貸家とされる建物》つまり貸家の評価額は、70%の評価になりますから、2,100万円です。子は、「贈与税」の負担ナシで建物を所有できるわけです。
そして、《預かり敷金の精算》のため、親は子に敷金分を渡す必要があるのです。いわば、《お金付きの贈与》ですね。
貸家建付地の評価
親の土地の上にある賃貸建物の所有者が、親である場合…『貸家建付地』として、更地評価額(自用地評価)から20%ほどの評価減となります。所有者を、子に移すと…《使用貸借で貸している土地》ですから、『更地』として評価はアップすることになります。
しかし、所有者が子になった場合でも…賃借人が、親所有時代からの賃借を継続するならば、「貸家建付地」とみなされます。《賃借人の権利》を、継続できるからです。
親子間の建物移動による相続税評価の問題を避けるためには、管理会社(同族会社)へサブリースをかけてから、賃借人に貸し付けるのが良いでしょう。サブリースが続く限り、土地は「貸家建付地」のままです。