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他の相続人の納税まで要確認?…相続税の連帯納付義務者!
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納税したのに?
平成6年4月、ある相続で…遺産分割協議が成立しないまま、「相続税」の申告となりました。「相続税」の総額は数10億円であり、9人のうち2人の相続人が、納税せずに滞納します。
滞納となった相続税額は、2人分の合計で8億円。税務署は、他の7人が、2人に代わって納税するよう求めます。
平成9年11月、税務署は、7人の相続人に対して…〈2人分の相続税を払え〜〉と、差押えが前提の督促状を送ります。7人は、それぞれ自身の「相続税」を、納税していました。しかし、残る2人が納税しなかったので、その分を請求されたわけです。
連帯責任!
「相続税」には、《連帯納付義務》があり…〈相続人はそれぞれの相続税についてその相続で受けた利益額を限度として連帯納付の責に任ずる〉‥と、法律で定められているのです。
相続人の誰かが「相続税」を払わなければ、他の相続人が、請求されます。兄弟の誰かが納税しないなら、他の兄弟が納税義務を負うわけです。
さて、税務署は…督促後10日で、相続財産の中から、抵当権が付いていない貸駐車場を差押えます。この土地を公売にすることで、相続税全額を徴収できる見込みがあるのでしょう。
不当?
この差押えを不服として、7人のうちの1人が異議申立をしますが、棄却されます。そして、国税不服審判所に対して、審査請求をします。
〈滞納した2人は、相続税納税資金として5億円を相続財産から受領しているし、固有資産の不動産もある。この2人から強制的に徴収もせず、自身は確実に納税した者に対し請求し差押をするなど、違法かつ不当である〉…と、いうわけです。
また、〈差押えられた駐車場が公売されると一族の会社が経営不能になるので、差押えには別の土地をと要望していた。税務署がこの要望を聴かないのは、裁量権の濫用である〉…とも、主張します。
妥当!
平成10年10月21日、国税不服審判所は…
〈相続税の連帯納付義務は、特別な手続きが必要なものではない。したがって、他の相続人の相続税が確定することのみで、連帯納付義務者となる相続人からの徴収が可能である〉‥と、結論を出します。
さらに、〈本来の納税義務についての履行責任は、連帯納付義務者に補充的に負わせるものではない〉‥と、言っています。
相続人完敗
『補充的でない』とは、〈本来の納税義務者の財産状態がどうであれ、連帯納付義務者に対しては、自由に請求できる〉…と、いうことです。本来の納税義務者の財産を公売(競売)等しても不足である場合に限り、連帯納付義務者に請求するのではないわけです。
また、差押えに要望した別の土地は、住居になっています。強固な塀で囲まれていることもあり、公売すれば、法定地上権等の問題も出てきます。ですから、貸駐車場の差押えも不当ではない、という結論です。
自身のみならず…
「相続税」の申告が終わっても、他の相続人が納税したのか確認するまでは、気を抜けないのです。
特に、他の相続人が延納を選択した場合は要注意です。申告から数年が経過した後でも…連帯納付義務の請求は、延納の支払いが継続不能になって初めて、やってくるのです。
他の相続人が物納申請をしていて、申請が却下された場合も同様です。