Top >>不動産での相続税対策 >> 路線価は元旦に改訂
門松が立つと路線価と相続税が上がったり、下がったり!
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門松が立つごとに…
相続税の「路線価」は、門松が立つ『元旦』に改訂されます。大晦日の「路線価」と翌年の元日の「路線価」は、違います。その年の元日から大晦日までが、同じ数字なのです。
さて、『相続税』を考えた場合、お正月は《目出たいこと》なのでしょうか。
『一休さん』と呼ばれる一休宗純は、元旦に、髑髏(どくろ)の棒を持ち…〈門松は冥途の途の一里塚 目出たくもあり 目出たくもなし〉‥と、叫んで歩いたそうですが…。
1日違いで7,800万円?!
平成5年の元日…一人暮らしの78歳の女性が、浴槽で死亡しているのが発見されました。この女性は、大津市に1,000坪以上の自宅や農地を所有しています。検視の結果、死亡時刻は、平成4年大晦日の午後10時と推定されました。
ここで、「相続税」を計算すると…《大晦日の路線価》では3億400万円、《元日の路線価》では2億2,600万円になります。大晦日と元日の違いで、7,800万円も差があるのです。
大晦日vs元日
税務署は…検視結果に従って、《大晦日の路線価》による「相続税」の課税処分を行います。
対する相続人は
‥‥(1)検視の医師は、産婦人科医であり法医学の知識に乏しく、死亡推定時刻に科学的根拠がない(2)故人は『紅白歌合戦』を見た後に除夜の鐘を聞いてから入浴する習慣であった‥‥
として、《元日死亡説》を主張します。そして、《元日の路線価》による「相続税」が正しいとする、訴訟を起こしました。
目出たくもあり?
地価下落時代は…元日になると「路線価」が下がるので、「相続税」も下がります。お正月は、「相続税」の上でも《目出たいこと》でした。《長生きすること》が、最大の相続税対策でもあったわけです。
先の女性の場合…あと1年長生きしていれば、「相続税」は、7,800万円減っていたのです。
目出たくもなし!
地価上昇時代は…逆に、路線価が上がります。《目出たいこと》ではありません。
大都市部では、「路線価」は値上りへと転じています。そして、「相続税」は『累進税率』であるため、税額が更に跳ね上がります。
この時代の相続税対策は…「路線価」の値上がりを、「相続税」に反映させないことです。
売買で相続税対策
バブル期には、〈1億円の土地が数年後には2億円になる〉‥と、思われていました。そこで、親が子に不動産を売却する売買が、トレンドになりました。
例えば、親が1億円の土地を所有している場合…子が、借入等で土地の対価である1億円を調達して、親に支払います。土地の所有者は、子になります。親は土地を売却したので、「譲渡税」が課税されます。
土地が値上がりしても、親の土地ではないので、「相続税」には影響しないのです。この売買は、《親子間売買》や《評価額売買》と呼ばれました。
(以前は路線価水準の売買も可でしたが、現在は時価でなければ不可です。)
贈与で相続税対策
「相続税」と「贈与税」は、最高税率が、同じく50%です。最高税率が適用される資産家ならば、「相続税」でも「贈与税」でも、税率は同じなのです。
1億円に対する「贈与税」は、約5,000万円です。『贈与』せずに数年が経ち、2億円になった時点で『相続』した場合…「相続税」は、2億円の50%で1億円になります。
《時期を特定できない相続》よりも、《時期を確定できる贈与》の方が、税金が少なくて済むわけです。〈1億円の土地が数年後には2億円になる〉‥と思うのならば、〈1億円のうちに贈与する〉のが、良いでしょう。
『相続時精算課税』で当面負担する「贈与税」の税率は、最大で20%です。『贈与』をすれば、土地が値上がりした分の評価は、「相続税」には反映されないのです。
売買や贈与は年内に
《親子間売買》における「時価」は、通常の取引価額となります。しかし、〈「路線価」は公示価格の80%〉という前提から、路線価評価を80%で割り戻した価格を使うことが多いようです。つまり、相続対策の取引や課税は、「路線価」が基準になるのです。