Top >>不動産売却で相続税納税 >> 生前交換で非課税化
固定資産交換を生前に済ませて相続税取得費加算を有利に適用
借地契約書の借地人の名義と建物所有者の名義が相違することは時々あります。相続税の物納に際しては一定の対応が求められます。
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相続&譲渡…取得費あり
〈「相続税」の申告期限から3年内に相続財産である土地を売却した場合、譲渡益からその土地に払った相続税額を差し引くことができる〉…という、『相続税の取得費加算』があります。「譲渡税」の《非課税枠》とも言える特例です。
土地を山ほど持っている、《大地主の子》であるAさん。親が死亡したら、相続税額は1億円になります。
さて、「相続税」1億円をどうやって払おうか…これが、Aさんの悩みです。
相続財産の売却…非課税枠あり
Aさんの親の相続財産が土地のみの場合、『取得費』となる金額(譲渡税の非課税枠)は、1億円です。ただし、《非課税枠》が発生するのは、「相続税」の対象…親から《相続した土地》を売却したときだけです。
悩んだ末に、Aさんは…〈親から相続する土地を温存したままで「相続税」を払おう〉…と、決意しました。《相続した土地》ではなく、Aさんの所有地を1億円で売却するのです。
固有土地の売却…もれなく課税
親の『相続』の後、Aさんは、自分の土地を1億円で売却します。Aさんの固有土地は相続財産ではないので、《非課税枠》はありません。売却益の1億円全部が、「譲渡税」の課税対象になります。
相続土地を守り、「譲渡税」の《非課税枠》を選ばなかったAさん…失敗したか?
Aさんの固有土地を売却した場合でも、《非課税枠》を使える方策はナイのっ?!
…ありました。所得税法に、『固定資産の交換』という特例が…。
第三の選択…固定資産の交換
甲さん所有の1億円の土地と、乙さん所有の1億円の土地との間に、『交換契約』があります。『交換契約』…税務では、〈甲は乙に1億円で所有地を売却。甲は乙の所有地を1億円で購入。〉‥と、別々の取引と考えるのが原則です。したがって、実態は《交換契約》なのですが…《二つの売買取引》として、「譲渡税」が課税されます。
ところが、一定の要件を満たす場合は、譲渡課税がありません。〈譲渡は無かったコトにしてやる〉‥と、いうワケです。…これが、『固定資産の交換』の特例なのです。
交換で取得費加算
Aさんは、親の『相続』が起こる前に、『固定資産の交換』をしておけば良いのです。
親が所有している土地の中から1億円の土地を選んで、その土地とAさんの固有土地(同じく1億円)との『交換契約』をします。〈親子間では、この特例は使えない〉‥など、無体なコトは言われません。要件を満たせば、OKです。
所有期間の制限などが、特例が適用される《要件》となっています。長年所有している土地間の『交換契約』であれば、要件を満たす場合が多いでしょう。
交換で非課税枠入手
『固定資産の交換』によって、Aさんの固有土地は…「譲渡税」を課税されることなく《親所有の土地》になりました。(不動産取得税・登録免許税は、課税されますが‥)
…そして、親の『相続』が発生します。
『交換契約』の前、Aさんの固有土地であった親所有の土地は…《相続財産》であり、「相続税」の課税対象となります。
相続財産の売却…非課税枠あり
親の『相続』の後、Aさんが相続財産である土地を売却したときは、譲渡益(1億円)からその土地に払った相続税額(1億円)を差し引くことができます。こうして、「譲渡税」の《非課税枠》を、合法的に活用することができました。
Aさんの場合は「1億円」ですが、同価値の『交換契約』…都合よく、同価値の土地が転がってるワケないのが実情です。でも、〈同価値じゃなきゃ、交換できないよぅ〜〉‥と、諦めるのは早い!分筆や共有持分で計算すれば、同価値の土地があるでしょう。
交換で二次相続対策
『相続』が起こる順序は…《父親の次に母親》‥が、一般的かと思われます。
最初(父親)の相続時には、母親の相続(二次相続)まで考慮する余裕はありません。先祖代々受け継いできた土地を、母と子(Aさん)でサクサクッ‥と、分割してしまいます。
『二次相続』では…最初の相続時に相続財産であった土地は、《Aさんの固有土地》になっています。さらに母親の固有土地を『相続』して、「相続税」を納税しなければなりません。さて、「相続税」をどうやって払おうか…。
悩みが《振り出しに戻る》前…二次相続が起こらないうちに、『交換契約』をしておきましょう!