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使用貸借の土地 国税不服審判所の裁決
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親子間で使用貸借した土地の相続税評価額は自用地としての価額によるべきであるとした事例
親子間の使用貸借について財産価値が認められないところ、被相続人所有の土地に相続人所有の家屋があったが、土地の使用関係については、相続人に借地権があると認めるに足る証拠もなく、単なる使用貸借関係であったことが認められるから、本件土地の相続財産の評価に当たっては、自用地として評価するのが相当である。
昭和47年12月22日国税不服審判所裁決
使用貸借により貸し付けられている土地について、使用借人が賃貸建物の敷地として利用していても自用地の価額により評価するのが相当であるとした事例
被相続人が相続人たる請求人に使用貸借により貸し付け、請求人が賃貸建物の敷地として利用していた本件宅地の価額は、一般に土地使用借人の敷地利用権が権利性の薄弱なることを理由に零と評価され、借家人の敷地利用権が土地使用借人の敷地利用権に従属し、その範囲内の権能にすぎないところから、本件宅地が自用のものであるとした場合の価額により評価するのが相当である。
昭和61年12月2日国税不服審判所裁決
被相続人と請求人との間における本件土地の貸借関係は賃貸借とはいえず使用貸借と認めるのが相当であるから、本件土地は自用地として評価すべきであるとされた事例
請求人は、本件土地は請求人が貸家の敷地として固定資産税等の1.7倍以上の地代を支払って借りていたものであるから貸宅地として評価すべきであるが、貸借に当たって、権利金の授受もないことから評価基本通達26(貸家建付地の評価)に定める程度に評価すべきであると主張する。
ところで、土地の貸借に当たって、当該土地の公租公課を負担する程度のものは使用貸借であると解されているところ、請求人は、本件土地を借り受けるに当たり賃貸借契約及び地代の取決めをせず、領収書のただし書には「固資税、都計税、S町3−718、R町1−909分」等と記載されているのみで、本件土地地代とは記載されておらず、請求人の不動産所得の青色申告決算書に支払地代として計上することなく、公租公課と計上していることが認められ、また、請求人が支払った額が本件土地の固定資産税等の1.7倍となっているのは、被相続人から負担の要求をされた、請求人が相続する予定の本件土地及びその他の土地の固定資産税等の合計額が当該価額になっているにすぎず、本件土地の使用対価としての性格のものとは認められないので、本件土地の貸借は使用貸借と認めるのが相当である。
そうすると、使用貸借による敷地利用権は、権利性の薄弱なものであり、経済的価値を有しないものと解され、また、借家人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権に従属して、その範囲内での権能にすぎないと解されているので、本件土地の価額は、自用地としての価額から控除すべき建物所有者の敷地利用権の価額はないものとして算定するのが相当である。
平成8年3月29日国税不服審判所裁決
被相続人が生前立退料を支払うなどして借家人を立ち退かせた上、その貸家用の家屋を取り壊し、その敷地に貸家用の家屋を建築中である場合において相続が開始したときのその敷地について、貸家建付地としてではなく、自用地として評価すべきであるとした事例
貸家建付地とは、相続開始時点において現に貸付けの用に供されている建物の敷地を指すものと認められる。貸家建付地は自用地に比べて低額に評価することとされているが、これは、借家人はその借りている建物の敷地に対して借地権等の権利を有しているわけではないが、借家した建物利用の範囲内でその敷地に対しても事実上の支配権を有していることから、敷地の所有者にとっては、その分その敷地の経済的な価値がこれらの権利の目的となっていない自用地に比べ低くなっていることを考慮したものと認められる。
本件は、相続開始の時においては、本件宅地の上に建築中の新建物が存在したが、当該建物はまだ現実に貸付けの用に供されておらず、かつ、立退料の支払等により終了した新建物の建築前に賃貸されていた旧建物に係る賃貸借契約と新建物に係るそれとの間には継続性も認められないから、本件宅地には貸家建付地としてその評価額算定上考慮すべき借家人の事実上の支配権は存在せず、他に本件宅地の評価額算定上考慮すべき特段の事情も認められない。したがって、本件は、貸家建付地としてではなく、自用地として評価すべきものである。
平成2年7月6日国税不服審判所裁決