譲渡税の基本…相続税納税のための土地売却について…譲渡税の基本について

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相続税納税のための土地売却について…譲渡税の基本について


譲渡税の基本

資産を売却したときの売却益は「譲渡所得」として所得税及び住民税の対象となります。

譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)、特定の有価証券、書画、骨とう、宝石などが含まれます。 なお、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。

相続税の納税について様々な資産の譲渡があり得ますが、ここでは不動産(土地・借地権・建物)の譲渡についてみていきます。
なお財産を相続税の物納に充てた場合も譲渡となりますが、物納についてはその財産の譲渡はなかったものとみなされます。つまり物納の場合は特別に譲渡税非課税になっているのです。

なお資産の譲渡による所得であっても、次の所得は譲渡所得ではなく、事業所得や雑所得、山林所得として課税されます。
不動産業者が売却のために仕入れた土地を商品として売却した場合は、譲渡所得ではなく事業所得になります。言い換えると棚卸資産を譲渡した場合の所得は事業所得(又は雑所得)であり、固定資産の売却の場合は譲渡所得です。

地主さんの相続税の納税について様々な資産の譲渡は通常なら固定資産の売却になりますから、譲渡所得でしょう。
そして譲渡所得については、譲渡所得金額についての税額を、事業所得や給与所得などの他の所得の金額とは別に、租税特別措置法に規定された税率によって計算することになります。これを分離課税と言います。

最高税率は事業所得や給与所得などの最高税率50%(所得税+住民税)にくらべて、例えば一般の長期譲渡であれば税率は20%となっています。

1.課税の対象となる所得

 土地や建物を売却したときの譲渡所得に対する課税方法は、事業所得や給与所得などの所得(総合課税の所得)と分離(分離課税)して、税額を計算することになっています。
 そして譲渡所得は、土地や建物を売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算することになります。
(1) 取得費とは原価です。課税対象は売却益ですから「売却額と原価のの差額」です。そのためにまず原価を算定しなくてはいけません。

 売った土地や建物を買ったときの代金や、買ったときの支払った購入手数料などの資産の取得に要した金額となります。さらにその後支出した改良費や設備費があればそれを加算します。

 建物の原価については所有期間中の減価償却費相当額を差し引かなくてはいけません。実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。先祖代々の土地その他、昔に取得した資産については原価が分からないことがあります。この時はこの5%の概算取得費を使うことになります。
(2) 譲渡費用とは、土地や建物を売却するときに支払った費用のことです。仲介手数料、登記費用、測量費、売買契約書の印紙代、売却するに際して借家人に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などとなります。
 なお「取得費」について、相続や贈与により取得したものは、被相続人や贈与者の取得費をもとに計算することになっています。取得費の引き継ぎと言います。

2. 長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分

 土地や建物を売却したときの譲渡所得は所有期間により分かれます。長期譲渡所得と短期譲渡所得の二つに区分に分かれ、税率も異なることになります。

 長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。そして、短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。ポイントは売却したときの所有期間ではなく売却した年の1月1日現在での所有期間でみることです。

 なお「所有期間」について、相続や贈与により取得したものは、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっています。取得時期の引き継ぎと言います。

 長期譲渡所得の対象となる資産のを売却したとき、すなわち譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売却したときの税金は計算は次のようになります。
1 課税長期譲渡所得金額の計算
 課税長期譲渡所得金額=収入金額−(取得費+譲渡費用)− 特別控除
 土地建物を1億円で売却しました。土地・建物の取得費(建物は減価償却費控除後の金額)が6000万円、譲渡費用(仲介手数料や測量費など)が400万円とします。
 課税長期譲渡所得金額=2億円−(6000万円+400万円)=3600万円


税額の計算


なお、短期譲渡の場合には所得税率30%、住民税率9%、合計税率39%になります。
特別控除には次のようなものがあります。それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度であり、かつ特別控除額は、その年で5,000万円が限度となります。


  1. 公共事業(収用)のために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
  2. マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
  3. 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
  4. 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
  5. 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
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