路線価 裁決…路線価 国税不服審判所の裁決

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路線価 国税不服審判所の裁決




請求人らは、平成3年分の路線価は前年7月1日時点における実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されていたことは公知の事実であるとし、路線価により評価して申告した相続税について、平成2年秋以降、地価が著しく下落したのは明らかであるとして、本件相続開始時の実勢価格を不動産鑑定士の鑑定により求め、これに70パーセントを乗じた金額を基に評価をし、更正の請求をした。

 これに対し、原処分庁は、本件鑑定評価額による評価により減額更正をしたが、本件鑑定評価額に更に70パーセントの評価割合を乗じる必要はないとした。

 ところで、本件は、更正の請求に対し、原処分庁が本件鑑定評価額により評価して更正したのであるから、請求人は本件土地の価額がこの評価を下回ることを主張、立証することを要すると解すべきであるが、路線価が公示価格水準の70パーセント程度(評価水準)により評価しているのは、評価上の安全性を考慮した計算過程上の一要素にすぎないものであるところ、本件鑑定評価額は、鑑定人が公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた正常価格であって、これに評価水準を乗じなければならない理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえない。そうすると、請求人の主張、立証をもって、本件土地の価額が本件減額更正に係る価額を下回ると認定することはできない。

請求人は、更正の請求において、相続税法第22条(評価の原則)によれば、相続等により取得した財産の価額は時価による旨規定されているところ、路線価はその年の1月1日現在の価額であるから、大幅な地価の下落があった場合には、路線価を1月1日から相続開始時までの地価下落率により修正した価額を時価とすべきであると主張する。

 ところで、更正の請求をする場合は、更正の請求をする者が、まず、自ら記載した申告内容が真実に反するものであることを主張・立証すべきであると解されるところ、路線価は、売買実例価額の収集等技術的な理由から1年間適用されることとされており、毎年1月1日を評価時点として、1年間の地価変動にも耐え得るものであることの必要性など評価上の安全性等を考慮して公示価格水準の価格の80パーセント程度により評定されているので、路線価を1月1日から相続開始時までの地価変動率により修正した価額は、相続税法第22条の時価であるということはできないから、請求人の主張をもって、本件土地の価額が、本件減額更正処分に係る価額を下回るという事実を証明したことにはならない。
平成8年2月29日国税不服審判所裁決


請求人らは、公示価格から推定した本件土地の公示価格水準の額に80パーセントを乗じた額により本件土地の価額を算定すべきである旨主張するが、公示価格水準の額に80パーセントを乗じることは、課税庁内部の時価の評価に関する取扱いを統一するに当たり、評価上の安全性等を考慮して取り入れられているのであって、課税庁が実務上少なくともこれを乗じた額を下回ることは通常ないであろうと認めるところにより、課税処分等をするための計算過程上の一要素にすぎないものである。

 一方、請求人らの主張する公示価格から推定した本件土地の価額は、公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた価額であるとするならば、これに80パーセントを乗じる理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえないから、請求人らの主張は採用できない。
平成11年1月25日国税不服審判所裁決


 請求人及び原処分庁とも、路線価が時価を上回るとして、これを採用しないことには争いがないが、本件土地の価額につき、請求人と原処分庁のそれぞれが鑑定評価額をもって本件土地の価額であると主張する。

 しかしながら、審判所の調査によると、請求人と原処分庁のそれぞれが主張する鑑定額はいずれも採用できないから、当審判所において本件土地の価額を算定することとするが、開発法による価格は、その計算過程に想定部分も多く、合理性を欠くことも否定できないので、取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により、本件土地の価額を算定するのが相当と認められる。

 そこで、当審判所において採用した取引事例及び公示価格をもとに、当審判所においても相当と認める規準の一つである土地価格比準表に準じ、地域要因及び個別要因等の格差補正を行って本件土地の価額を算定したところ、請求人申告額を下回るので、本件更正処分はその全部を取り消すのが相当である。
 平成13年3月5日国税不服審判所裁決


 請求人らは、本件土地の価額は時価である取引価額に路線価の評価水準を乗じ、さらに、評価基本通達に定める各種減額を適用すべきである旨、また、原処分庁が更正する場合の相続税法第17条に規定するあん分割合は相続税法基本通達17−1の定めにより、請求人らが申告に使用した端数処理の方法を適用すべきである旨主張する。

 しかしながら、評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定する場合に、路線価の評価水準を考慮する必要はなく、路線価等を基に画一的に時価を算定する場合に適用するものとしている各種の減額を適用する余地もない。

 また、相続税法基本通達17−1は、合理的な端数処理を行っている場合には、納税者によって選択されたその端数処理によって相続税額を計算することができることとした取扱いであるが、本件は、請求人らが選択した端数処理の方法に明確な基準は見出せず、合理性があるものとは認められないから、原処分庁はその方法を選択できないのであって、相続税法17条の規定に基づいてした原処分庁のあん分割合に違法はなく、請求人の主張には理由がない
 平成13年9月25日裁決


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