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取得費加算の特例で売却予定の土地は子が相続…
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相続申告後3年
相続後に土地を売却することは多々あり、「譲渡税」の税務上で大切な特例として『相続税の取得費加算』があります。〈「相続税」の申告期限から3年内に相続した土地を売却する場合、土地に対する相続税分の譲渡益が非課税枠となる〉‥という特例です。同じ売るなら、《3年までがお徳》なのです。
この制度は、〈相続税納税のための土地売却では譲渡税を安くする〉‥という趣旨なのですが、「相続税」を納税済みの場合でも使えます。
2006年9月に死亡した人の相続税申告期限は、10ケ月後の2007年7月です。それから《3年後》は、2010年7月です。2006年9月に死亡した人の相続人の非課税枠は、2010年7月で消滅するわけです。
非課税枠
『非課税枠』とは、譲渡益から控除できる金額です。相続した土地を売却しても、この金額の範囲までであれば、「譲渡税」が非課税になるわけです。ただし、この計算は…相続財産全体ではなく、相続人一人ごとに行います。
「相続税」には配偶者控除があるため、配偶者は「相続税」を納税しないのが普通です。計算上、配偶者の『相続税額』はゼロになり、「譲渡税」の『非課税枠』がありません。ですから、配偶者が売却予定の土地を相続してこの特例を適用すると、大失敗なのです。
配偶者の他に「相続税」が生じる相続人がいる場合、その相続人がその土地を相続して売却すれば、『非課税枠』は使えます。
やり直しは?
民法上では、遺産分割のやり直しができます。しかし、税務上では…遺産分割をやり直したため所有者が変わる財産は、「相続税」を再度計算するのではなく、贈与税等の新たな課税対象となります。
遺産分割による「相続税」の申告を終えてしまうと、やり直しは不可能なのです。広大な土地の所有者の遺産分割にあたっては、民法ばかりでなく、税法への意識が必要です。
相続税の取得費加算……「譲渡益非課税」枠の計算式
(厳密ではありません)
相続税額×(相続財産中で土地の評価額合計−物納(物納申請中)土地)/(相続財産の合計額(債務等を控除する前の金額))
<教訓…同じ相続税額1億円でも非課税枠はこんなに違う。>
相続財産が土地4億円だけで、相続税額1億円の場合
◆物納しない場合
1億円×(4億円−0)/4億円=1億円
<教訓…相続税納税済みでも使える。ただし相続申告日から3年を1日でも経過するとこの譲渡益非課税はなくなる。だから、相続申告期限から3年目の日を忘れない。>
◆相続税額1億円の全額を物納した場合
1億円×(4億円−1億円)/4億円=7500万円
<教訓…たとえ物納したとしても、非課税枠は残る。この非課税枠をつかい同族会社に売却しての土地所有の法人化も可能。証券化のためのSPCの設立や不動産投資信託への売却だってOK。>
相続財産が土地4億・その他4億・債務4億、相続税額1億円の場合
◆物納しない場合(債務控除前の相続財産は8億円になります。)
1億円×(4億円−0)/8億円=5000万円
<教訓…非課税枠を最大限使うためには「その他4億と借金4億(あわせもプラスマイナスゼロ)」を配偶者や土地売却をしない相続人に相続させる。そうしても相続税額は変わらないし、そうすることで子の非課税枠は1億円(上のケース)に倍増。遺産分割では将来の土地売却の譲渡税に最大限の注意する。>
◆相続税額1億円の全額を物納した場合
1億円×(4億円−1億円)/8億円=3750万円