本人債務履行への譲渡税…土地売却で自己の債務弁済…譲渡税は非課税になるか

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土地売却で自己の債務弁済…譲渡税は非課税になるか


保証債務履行譲渡の特例

他人の借金の「保証人」となり債権者から『保証債務』の履行を請求され、自分の土地を売却した場合…売却益にかかる「譲渡税」は、非課税になります。他にも様々な条件があるため注意を要しますが、「保証人」になった場合は覚えておきたい《特例》です。

そして、この《特例》で『他人』に該当するものに、《自分の子供》や《自分が経営する会社》も含まれます。

親や社長が、自分の子や会社が借金返済に窮した場合にフォローするのは当然!‥のような気がします。ところがこの《特例》は、〈他人の後始末のためである〉として、譲渡課税を免除してくれるワケです。ありがたや〜…

完済後の苦難

〈借金返済のための土地売却=譲渡課税ナシ♪〉‥となったら、借金返済を名目に、要らない土地を処分しまくる地主が現れるかも。…そうは問屋が卸しません。《自分の債務のための土地売却》は、譲渡課税の対象です。

《他人の債務のため》なら課税ナシなのに…自分自身に借金があり、その返済のために土地を売却した場合には、「譲渡税」は非課税ではありません。先祖代々の土地を、泣く泣く手放した場合…翌年3月の確定申告では、泣きながらでも「譲渡税」の申告をしなければならないのです。

譲渡税対策

自分の借金返済のために土地を売却した場合は、「譲渡税」がかかります。売却益が1億円であれば、譲渡税率は、住民税込で20%…約2,000万円の納税額です。

しかし、売却代金の全額を返済に充当したため、「譲渡税」を払えません。そんな時は、申告を忘れたフリをする?…甘〜い!

税務署は、『登記情報』を把握しています。したがって、売却益があるのに「譲渡税」を申告しなければ、税務署から呼び出しを受けるコト間違いなしです。

借金返済のための土地売却に際しては、〈譲渡税の納付分は手元に残して〜〉‥など、債権者と交渉しておくことも必要になるワケです。

自己の場合も非課税に…

土地を売却して借金を返済したので、「譲渡税」を払わなければならない。でも、お金が無い〜‥というケースは、ありそうです。税務署も、〈無い袖は振れない〉人から税金を徴収するのは難しいでしょう。

そこで、お国は…〈自分の借金返済のために不動産を譲渡した場合にも、「譲渡税」を非課税にしてやろう〉‥と、したのでしょうか。譲渡課税上、〈借金の返済が困難なとき競売等で任意に売却した場合は非課税〉…という《特例》があるのです。

この《特例》の任意売却は…〈資力喪失し債務弁済が著しく困難〉〈競売等が不可避の状況〉〈売買対価全てを弁済に充当〉…の三つを全て満たしていることが条件です。

資力喪失?

自分の借金返済のためであっても、《資力喪失》によりやむを得ず土地売却をした場合は、譲渡課税がナシなのです。『資力喪失して債務弁済が著しく困難な状況』については、売却した時点で判定されます。

しかし、《資力喪失》とは、何とも抽象的な表現ですね。『所得税基本通達9-12の6』においては…〈債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合〉…と、されています。

認定までは…

借金返済のため不動産譲渡を実行する場合、《資力喪失》による「譲渡税」の非課税が認められるまでは、薄利状態(?)をキープしていた方が良さそうです。

『国税不服審判所裁決・平成13年3月15日』の判例に…〈請求人は債務超過の状態にあり、強制換価手続が避けられない状況にあったものと認められるものの、事業を継続し平成7年及び平成8年にはそれぞれ利益を計上していることから資力喪失の状態にあったとは認められない。〉‥といった記述がありました。

売却時の《資力喪失》が認められた後は、あらゆる手段で資力復活(?)に努めましょう。ただし、宝くじの当選金は良くても、賭博の益金は…相当、心証悪いでしょうねぇ〜。

全て弁済に!

次に、譲渡益の行方です。借金返済のため不動産譲渡をして、〈資力が無いから譲渡課税ナシにしてよぅ〜〉‥と主張するからには、売却益を残しておくのはNGです。

債権者からの、〈売却代金の1割は残してあげよう♪〉‥といった温情に甘えてはいけません。非課税は否認されて、残しておいた1割だけではなく、売却代金全体が「譲渡税」の課税対象となります。売買対価は、全額を返済金にしなければならないのです。

また、『国税不服審判所裁決・平成19年7月6日』に…〈請求人は、譲渡資産以外に不動産を所有しており、その他の事情も併せて考慮すると、譲渡当時、十分な資力があったものと…〉‥とあり、売却物件の他に不動産がある場合も、非課税は困難のようです。

払えないときは?

非課税が否認され、〈譲渡課税2,000万円なり〜!〉‥と宣告(?)されましたが、納税する資金がありません。税金を納付しないでいると、税務署の担当は『課税』から『滞納』へと移行します。そして、貸金業者の《回収担当者》のように、ハードな「取立て」を受けるのでしょうか…?

…そんなコトはありません。税務署には、『国税徴収法153条・徴税停止』という血も涙もいっぱいの規定があり、以下の場合は滞納処分の執行を停止してくれます。

・滞納処分を執行することができる財産がないとき

・滞納処分を執行することによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき

停止ではなく認定を!

そして、「徴税停止」の状態となって3年が過ぎると…『納税義務』そのものが、消滅することになります。アレ…?「徴税停止」なら、結局、非課税といっしょジャン♪

…税金を納めずに済むところは同じかもしれませんが、「徴税停止」と「非課税認定」では、やはり違うでしょう。

借金返済のため不動産譲渡をする場合…まずは、「譲渡税」の非課税が認められる条件を認識することです。そして、条件を満たさない場合は、譲渡税分を確保しておきます。

いずれにしても、専門家とよく相談することが必要でしょう。
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