Top >>不動産売却で相続税納税 >> 相続利子税を必要経費化
延納利子税や納税借入金金利は経費&譲渡課税無し…相続税の秘技?!
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経費に非ず
「相続税」を一括で支払うのが困難なときは、最長20年の分割で支払える、延納を考えます。所得税や住民税のほかに、毎年、「相続税」を支払うのです。
Aさんの「相続税」は、1億円です。延納の利子税(金利相当額)、または納税のための借入金の金利を、年200万円支払うとします。
Aさんの所得税・住民税の税率は、50%です。延納利子の200万円を必要経費とすると、課税所得が200万円減り…所得税・住民税が、税率50%で100万円の減額になります。利子の実質的な負担額が、200万円ではなく100万円になるわけです。
しかし…所得税・住民税が減少することは、ありません。延納による利子税は、必要経費にならないのです。「相続税」を納税するための借入金の金利も、同様です。
利子の経費化
利子(金利)が必要経費にならないのは、納税のための債務だからです。では、金利を必要経費にする手立てはないものか…賃貸不動産の購入資金は…必要経費です。
相続税額が1億円のAさんは、かなりの遺産を相続したはずです。その中の、1億円または5億円の持分20%のアパートに、着目しましょう。
Aさんは、このアパートを、Bさんに買い取ってもらいます。その売却代金である1億円で、延納残額または「相続税」の借金を返済するのです。
Bさんが、このアパートの購入のためAさんに支払った1億円は、借入金でした。この1億円は相続税納税のための借入金ではなく、アパート購入資金です。Bさんの借入金1億円の金利は、必要経費になるのです。
誰に売る?
さて…Bさんは、誰にしましょうか。Aさんの「相続税」と関係がない《赤の他人》では、無意味です。
子でも構いませんが、Aさんが経営する法人に売却する場合が多いでしょう。新たに会社を設立しても、OKです。売却したアパートの家賃を受け取れなくなりますが、役員報酬を増やせば良いのです。
しかし、アパート売却は《不動産の所有権移転》ですから、登録免許税や不動産取得税が課税されます。銀行からの借入金である場合、さらに面倒な手続もあります。
当事者間で…
〈売買契約をして所有権移転登記はしない〉、または〈相続税納税のための借入金の場合、銀行を介さず、借入金債務引受を対価とする当事者間の売買契約にする〉‥など《裏技》もあるようですが、その辺りは自己責任です。
アパートの時価を明確に査定することが、極めて重要です。売買価格と時価に差があると、新たな課税の問題に発展します。
ところで…経費化できるのは、『金利』だけです。『返済元金』は、必要経費になりません。残念ながら…。
譲渡税回避
さて…大きな問題が、残っていました。アパートを売却したAさんへの、「譲渡税」の課税でについてです。1億円で売ったからには、「譲渡税」は1,000万円以上で当たり前?…でも、「譲渡税」をそんなに払ったら、利子(金利)を経費にした意味がありません。
ここで、《取得費加算の特例》が登場します。相続開始から3年10ケ月間は…「相続税」の一部について、譲渡所得の計算上、経費にできるのです。厳密に言えば…〈経費になる〉のではなく〈取得費に加算する〉、ということなのですが、結果は同じです。
取得費加算
相続財産である土地を売却した場合は、相続した土地全体に対する相続税額を上限として、経費にできるのです。相続財産の大半を、土地が占めるならば…Aさんのようなアパート売買で、「譲渡税」はかからない場合が多いでしょう。
《取得費加算の特例》を適用しても「譲渡税」がかかる場合は、課税されない金額まで、売買すれば良いのです。相続開始から3年10ケ月内の売買であれば、「譲渡税」の課税を免れる可能性が高いはずです。